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分散分析(対応あり)

データの概要

アクティブ・ラーニングを取り入れた授業の開始後、40人の生徒の学習意欲を時間を追って測定したデータ(人工データ)を利用することにする https://okumurin.github.io/jasp/alrepeat.csv

下の図は、このデータをJASPで開いたものである。

Image figjaspdataalrepeat

格納されている変数は以下の通り。

ID
生徒番号(1-40)
Time0
アクティブ・ラーニング実施前の学習意欲得点(20点満点)
Time1
アクティブ・ラーニング実施後4週間後の学習意欲得点(20点満点)
Time2
アクティブ・ラーニング実施後8週間後の学習意欲得点(20点満点)
Achievement
生徒の学力水準(低群 = Lower、高群 = Upper

対応のある一要因分散分析

学習意欲得点を従属変数とし、測定時期(Time)を対応のある要因とした分散分析を実施してみよう。

[ANOVA] メニューから [Repeated Measures ANOVA] を選択する。

Image figjasprepeatedmenu

ここで、左のボックスから従属変数 Time0, Time1, Time2 を右側の [Repeated Measures Cells] に移動させるのであるが、デフォルトではここには [Level 1] と [Level 2] の2水準しか用意されていない。 この要因は3水準から成っているので、まずは一番上の [Repeated Measures Factors] の水準について、名称変更を兼ねて [Time0] から [Time2] までに変更しておく(Level 1 - Level 3 などラベルは任意で良い)。

Image figjasprepeatedlevels

その上で、Time0 から Time2 までを左のボックスから右のボックスに順に移動させる。 すると、以下のように分散分析表が表示される。 測定時期(Time)の主効果は上部の [Within Subjects Effects] に [RM Factor 1] という名称で格納されている。 検定結果は5%水準で有意となっている( $ F(2, 78)=166.926$, $ p < .001$)。

Image figjasprepeatedtable

ちなみに、分析メニューにおいてデフォルトの要因名 [RM Factor] を [Time] など任意の名称に変更しておけば、それ以降の分析結果に要因名として反映される。

Image figjasprepeatedtime


多重比較

引き続き、[Post Hoc Tests] を開いて多重比較を実施しておこう。 要因名が [RM Factor 1] と表示されているので、これを左から右のボックスに移動させる。 多重比較としては Holm の方法がデフォルトで採用されており、これにもとづく結果が表示される。

また、[Description Plots] を開き、[Horizontal Axis] に同様の要因を移動させると、時点ごとの学習意欲得点の平均がプロットされる。

なお、ここでの自由度の扱いは少々面倒である。 というのも、2群の平均の比較にはそれに関連するデータしか用いていないためである。 例えば、Time 0 と Time 1 の平均を比較する際には、この2水準のデータ(40名×2時点)のみが分析の対象となるということである。 しかも対応のあるデザインなので、差得点は40人分であり、自由度は $ 39 (=40-1)$ ということになる。 従って、この場合は検定結果を $ t(39)=-15.165$, $ p < .001$ のように報告することになる。

Image figjasprepeatedposthoc

Taichi Okumura
2021-06-01